大学におけるソフトウェアの利用状況は、一般の企業に比べてもかなり複雑である。岡山大学には学生約1万3,000名、教職員約4,000名というパソコン利用者が在籍し、学生は毎年4分の1が入れ替わる。パソコンの管理についても集中管理、研究室管理などが混在し、教育・研究用途だけに硬直的な管理は好まれない。また、ウインドウズ端末の他にマッキントッシュ端末が1割ほどを占め、利用されているソフトウェアも多岐にわたる。
こうしたなか、2005年度から本格的なソフトウェア資産管理に取り組んでいる。当初は表計算ソフトでパソコンとソフトウェアの管理簿を作成していたが、確認・集計作業が膨大になるなど表計算ソフトでの管理に限界があったため、昨年から専用のソフトウェア資産管理システムを導入した。
ソフトウェア資産管理システムの運用に関する留意点だが、まず、システムでインベントリー収集を行うことができないパソコンに備え、手作業での対応策を用意しておく必要がある。また、パソコン内のソフトウェア情報を収集することへのユーザーの心理的な抵抗感を軽減するため、日ごろからの周知により理解を得ることが大切である。ユーザーに各自のパソコンの管理作業を行ってもらう際は、管理部門への問い合わせが集中しやすいので、シンプルな作業を複数回に分けて依頼するとよいだろう。
効率的なソフトウェア資産管理には、まず詳細な管理規程の制定など基本となる体制をしっかり整備し、その上でシステムへの辞書登録や、利用状況の把握などのシステム運用を継続的に行うことが肝要である。
また、近年はライセンス形態も多様化しているため、ソフトウェアを制作しているメーカー側にも約款内容のわかりやすい表示や、管理情報の定型化といった配慮があると、利用側の管理効率が格段に向上するだろう。利用者とメーカーが互いに協力してソフトウェア管理を進めていく、そんな良好な関係が築けるよう望んでいる。(7/9掲載 日経産業新聞 6面広告より)
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