SAMAC

日経産業新聞フォーラム2013 開催報告

 去る2013年5月28日(火)、日経ホールにて、日本経済新聞社主催、一般社団法人ソフトウェア資産管理評価認定協会(SAMAC)特別協賛による「リスクマネジメントにおける重要課題 -ソフトウェア資産管理-」のセミナーが開催されました。 ソフトウェア資産管理(SAM)関連では国内最大級のセミナーとあって、当日はSAMAC会員企業を含む19団体がブースを出展するなど、大変盛況なセミナーとなった。

開催概要

開催日 2013年5月28日(火)
開催時刻 10:00~17:00
会場 日経ホール
千代田区大手町1-3-7 日経ビル3階
主催 日本経済新聞社
特別協賛 ソフトウェア資産管理評価認定協会(SAMAC)
協賛 BSA|ザ・ソフトウェア・アライアンス
後援 日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)、日本規格協会(JSA)
定員 500名

【講演1】 事例から見るSAMの最新動向とSAMAC

SAMAC理事長 株式会社クロスビート
篠田 仁太郎

 IT資産管理は単なる物品管理から、2007年以降には、ライセンスだけでなくソフトウェア管理の重要性も意識され、管理範囲はハードウェア+ソフトウェア+ライセンスへと広がった。管理体制も、単なる個人任せの管理から、組織としての取り組みへと昇華してきている。規格(ISO/IEC19770シリーズ)も、市場に望まれる形を模索しつつ、新たに開発されている。
 公認SAMコンサルタントやSAM成熟度評価のような認定・認証の仕組みが欧米も含めてリリースされるなど、知識やレベルの可視化という動きも大きくなった。
 SAMの運用においては、効率化と有効性が強く意識されるようになっており、システムの調達の条件が「機能ありき」から「運用ありき」に変ってきた結果、収集情報とは別に台帳を持ちアラートを出す ●ワークフローと親和性を持つ ●更新を容易にする ●管理の基準となる規格等を指定する ●管理レベルという考え方を持つといったことがトレンドになってきている。
 今後SAMACでは、ユーザーがよりSAMに取り組みやすくすることを目的とし、ユーザーのためのフォーラムを立ち上げる。SAMのトレンドだけでなく、ユーザーとしての悩み、集合知の形成を目的として、メンバーを募集する。(7/9掲載 日経産業新聞 6面広告より)

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【講演2】 ISO/IEC19770シリーズ(ソフトウェア資産管理)の最新動向

SC7 WG21WG委員 日本マイクロソフト株式会社
手島 伸行

 SAMの国際基準であるISO/IEC19770シリーズは、2006年に第1部「プロセス」が規格化された後、2012年に「段階的適合性評価」を加えて改訂されている。第2部は2009年にインベントリー収集の精度を向上させるための「ソフトウェア識別タグ」として規格化された。
 さらに、現在規格化に取り組まれているものには、適応するライセンスを明確にする「ソフトウェア使用権タグ」、全体像を取りまとめた「概要及び用語」、タグを管理するための規格「タグマネジメント」などがある。SAMは従来の場当たり的な対応から、組織が戦略的に活用する時代になってきている。

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【事例講演1】 ソフトウェア資産管理の取り組み過程で気づいた点

山梨県企画県民部情報政策課副主幹
矢崎 孝 氏

 山梨県ではソフトウェア資産管理(SAM)の重要性は認識していたが、組織として管理できているかと問われると心許ない点も多かった。縦割りが一般的な自治体では、調達窓口が複数にわたるため、部門単位で管理レベルにばらつきが出やすい。
 そこでソフトウェア資産管理評価認定協会のアドバイスを受けながら、SAMの考え方を理解することから始めた。その中でSAMとは、ライセンス管理だけでなく、セキュリティの強化、ITガバナンスの強化、ITコストの最適化までつながることを認識。IT資産の調達から登録、管理、運用までをPDCAサイクルで回していくことが重要と判断した。
 SAMのスタートラインに立つためには、IT資産の現状を把握することが不可欠であるが、予想以上にハードルは高い。どこから手を付けるか、誰がやるかといった問題のほか、調査結果の正確性をどう担保するかということまで考えなければならないからだ。実際の現状把握は、各部門の協力を得ながらハードウェアの洗い出し、インストール済みソフトウェアの把握、ライセンス保有状況の把握と使用ソフトウェアとの差分確認という順序で行った。
 現状把握の作業を行ってみると、管理台数は膨大で、インストールされているソフトウェアも想定していた以上に複雑で大量となる。そのため、手作業では負担が大きく時間もかかってしまう。当初はExcelなどで台帳を作って管理をしようとしたが、将来の運用には限界があることもわかった。
 そこで昨年度に資産管理システムを導入し、現在は運用に向けた最終調整を行っている。とはいえ、システムを導入して終了というわけではない。申請、承認などのプロセスや、変更記録の保存など考えることは多い。組織としてSAMに対する方針や体制の準備や、規程類の策定と周知、管理者と職員への研修などを進めていく必要がある。SAMをやらないという選択肢は考えられなくなった今、今後も管理体制の強化と仕組み作りを続けていく。(7/9掲載 日経産業新聞 6面広告より)

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【協賛セッション】 法律/コンプライアンス面から見たライセンス管理の必要性

弁護士、BSA | ザ・ソフトウェア・アライアンス 日本担当顧問
石原 修 氏

 ソフトウェアの管理は、経営者自らが積極的に関与して推進することが求められている。違法コピーは、刑事的には行為者の懲役刑のほか、組織に3億円以下の罰金、民事的には損害賠償などを負うが、ずさんなソフトウェア管理を漫然と放置した場合、経営者自身も損害賠償の対象となり、経営に与えるリスクは非常に高く、その適正な管理には徹底的な意識改革をもってあたる必要がある。
 適切なソフトウェア資産管理のポイントとしては次の4つが挙げられる。第1は、PC全数を対象とするソフトウェアの調査とライセンスの基本台帳の作成である。第2は、基本台帳を更新するルールの存在。第3は、更新ルールの順守が検証されていること。第4は、ソフトウェアとライセンスの不一致が見つかった場合、メーカーに報告し善処するなど、適法是正措置を迅速に行うことである。BSAでも、ソフトウェア資産管理に関する様々な規定や台帳などのひな型に加え、社員向けの教育コンテンツなどを用意しているで、ぜひ利用していただきたい。(7/9掲載 日経産業新聞 6面広告より)

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【SAMAC活動報告1】 SAMAC管理基準Ver4.0の概要と改定

SAMAC管理基準WGリーダー 有限責任監査法人トーマツ
田村 仁一

 SAMACでは、ソフトウェア資産管理を普及促進するため、「ソフトウェア資産管理基準」を策定している。この管理基準は、SAMの国際標準規格であるISO19770-1との整合性も配慮されている。2012年にこのISO19770-1が改訂されたことや、基準自体を発行して2年余りが経過したことから、現状の内外の環境変化に合わせて、基準内容の整理、見直しを行い、Ver4.0として改訂することとした。
 この改訂版は近くホームページなどを通じて公開の予定である。

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【SAMAC活動報告2】 仮想環境やクラウドを利用する時のSAMを考える

SAMACクラウドWGメンバー エムオーテックス株式会社
松村 達也

 仮想化やクラウド化の進行により、ソフトウェアのライセンス体系が複雑化するなか、管理にはより柔軟な対応が求められるようになっている。こうした状況でも、やはり基本となるのはソフトウェア使用許諾条件のしっかりとした把握である。
 その上で、管理ツールに関しては「CPUやメモリなどの情報の取得」「利用者数の把握」「管理ミスを誘発しやすい部分への考慮」「齟齬情報への考慮」などへの対応に留意し、特性を生かして運用することが望ましい。

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【事例講演2】 岡山大学におけるソフトウェア資産管理

岡山大学情報統括センター主任専門職員
岡田 俊明 氏

 大学におけるソフトウェアの利用状況は、一般の企業に比べてもかなり複雑である。岡山大学には学生約1万3,000名、教職員約4,000名というパソコン利用者が在籍し、学生は毎年4分の1が入れ替わる。パソコンの管理についても集中管理、研究室管理などが混在し、教育・研究用途だけに硬直的な管理は好まれない。また、ウインドウズ端末の他にマッキントッシュ端末が1割ほどを占め、利用されているソフトウェアも多岐にわたる。
 こうしたなか、2005年度から本格的なソフトウェア資産管理に取り組んでいる。当初は表計算ソフトでパソコンとソフトウェアの管理簿を作成していたが、確認・集計作業が膨大になるなど表計算ソフトでの管理に限界があったため、昨年から専用のソフトウェア資産管理システムを導入した。
 ソフトウェア資産管理システムの運用に関する留意点だが、まず、システムでインベントリー収集を行うことができないパソコンに備え、手作業での対応策を用意しておく必要がある。また、パソコン内のソフトウェア情報を収集することへのユーザーの心理的な抵抗感を軽減するため、日ごろからの周知により理解を得ることが大切である。ユーザーに各自のパソコンの管理作業を行ってもらう際は、管理部門への問い合わせが集中しやすいので、シンプルな作業を複数回に分けて依頼するとよいだろう。
 効率的なソフトウェア資産管理には、まず詳細な管理規程の制定など基本となる体制をしっかり整備し、その上でシステムへの辞書登録や、利用状況の把握などのシステム運用を継続的に行うことが肝要である。
 また、近年はライセンス形態も多様化しているため、ソフトウェアを制作しているメーカー側にも約款内容のわかりやすい表示や、管理情報の定型化といった配慮があると、利用側の管理効率が格段に向上するだろう。利用者とメーカーが互いに協力してソフトウェア管理を進めていく、そんな良好な関係が築けるよう望んでいる。(7/9掲載 日経産業新聞 6面広告より)

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【特別講演】 ソフトウェア資産管理(SAM)の現状と今後の方向性

一般財団法人日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)
情報マネジメント推進センター 副センター長
高取 敏夫 氏

 一般財団法人日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)は、組織におけるITサービスの品質向上や情報セキュリティ強化をめざし、SAMに関する各種の調査研究や普及活動に取り組んでいる。
 SAMを適切に導入することによって得られる効果は、ライセンスに関するコンプライアンス確保にとどまらない。ソフトウェアのバージョン管理や、パッチの適用などを通じ、ITシステムの構築・運用環境の改善を図ることができ、全体的なオペレーションコストの低減やセキュリティ向上が期待できる。
 今後はクラウド化の進行とともに、ソフトウェアライセンスの提供形態や管理体制により一層の変化が予想されるが、当協会は中立的な機関として、IT資産の総合的なマネジメントシステムの確立に大いに機能を発揮していきたい。
 また協会ホームページ(http://www.isms.jipdec.or.jp/)には各種ユーザーズガイドや報告書など、有用な最新のドキュメント類を豊富に用意しているので、ぜひご活用いただきたい。(7/9掲載 日経産業新聞 6面広告より)

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【SAMAC活動報告3】 教育・研修を通じ適切なSAMの実現を支援

SAMAC研修WGリーダー 有限責任監査法人トーマツ
島田 篤

 SAMACでは教育・研修を通じた「正しいソフトウェア資産管理」の普及・啓発に取り組んでいる。研修内容は、SAMの構築から、規格基準/成熟度評価、ライセンス理解まで、またレベルも基礎から専門家向けのアップデートまで幅広く取りそろえている。
 また、会員企業や参加者の要望を取り入れつつ新しい研修についても開発していく。今後は、クラウド・仮想化に対応した研修も充実させていきたい。

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【SAMAC活動報告4】 SAMの構築と運用効率を高めるソフトウェア辞書

SAMAC辞書WGリーダー 株式会社CSK Winテクノロジ
大惠 傑

 PCで利用されている膨大なソフトウェアを、有償、無償、Hotfix等に効率的に分類する上で重要な役割を果たすのがソフトウェア辞書である。SAMACの辞書では「メーカー」「正式名称」「エディション」「バージョン」の4項目でソフトウェアを識別し、「ソフトウェア種別」に分類を記載している。
 今後は機械チェックの導入や管理項目の増強を進めて行くと共に、ユーザーからのフィードバックなどを通じ、より高精度の辞書を目指していく。

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【事例講演3】 ソフトバンク通信4社におけるソフトウェア資産管理の構築と運用管理

ソフトバンクモバイル セキュリティ本部 担当課長
神例 慶英 氏

 ソフトバンクグループでは、ソフトバンクモバイル、ソフトバンクBB、ソフトバンクテレコム、ウィルコムの通信4社がシステムを共用してソフトウェア資産管理にあたっている。全体で約700名のソフトウェア担当者が置かれ、2012年にはISO19770-1の認証を取得、現在もSAMACによるSAM成熟度評価を受けて認定を待つなど日々、管理体制の充実に努めている。
 ソフトバンク通信4社で稼働しているパソコンは、一般的な事務用に加え、シンクライアント、ショップ専用、システム専用など約11万台あり、使用ソフトウェアも2万7900種類に上る。こうした中、以前は、ソフトウェアの使用条件の誤認やライセンス証書・プロダクトキーなどの管理が不十分といった事が起きていた。そこでオンラインで一元的に社内のソフトウェア使用状況を管理できるライセンス管理システム(ピュアターミナルライセンス管理システム)を自社で開発し導入する事となった。同時に、部門毎に管理していたインストール用のメディアやライセンス証書についても1ヵ所に集めて一括管理する事とした。その結果、ソフトウェアの使用条件に抵触するような不備が激減しただけでなく、余分にライセンスを購入するといったコスト上のムダもなくなっている。
 ソフトウェア資産管理ではシステムの運用・更新に加え、担当者・利用者への啓蒙等、普段の取り組みが必要である。
 ソフトウェア資産管理の運用では日常的なソフトウェア辞書(※)の更新や管理台帳のチェック作業が欠かせない。また、ソフトウェア管理者の意識向上の為にこれまで15回に渡り説明会を開き、延べ800名の担当社員が参加している。一般社員にもメールマガジン等で情報を周知する他、満足度調査を行い運用の向上に努めている。
 今後は管理システムの運用マニュアル類の整備やウインドウズXP等のサポート終了に伴う対策に取り組んでいく予定である。(7/9掲載 日経産業新聞 6面広告より)
 ※)SAMACホームページ参照 http://www.SAMAC.or.jp/software_dictionary.html

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